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読書 

本が無くては生きていけない私、
でも最近シニアグラス?まあ早く言えば老眼鏡のお世話になりつつある身にとって
前より読書量がぐんと落ちたのは事実。これからはじっくり読むことにしましょう。


● これまでのお気に入り ●
もちろん、沢山の名作や傑作はどれも素晴らしいのですが、思い浮かんだのだけ書いてみます。

家族狩り(第一部〜五部)文庫本版   天童荒太
山本周五郎賞受賞作「家族狩り」をもとに生み出された新作長編。
読み進むうちに小説ではなく現実にそれも毎日起きている事件、それは親殺しであったり、いじめによる自殺だったり・・・虚構の世界ではなくなっている事に一番怖さを感じてしまった。
悩み事相談所を主催する元夫婦だった男女が問題の家族をゆがんだ「愛」の名の元に殺して行くくだりはいただけないが、あとは誰もがもはや小説の世界と気楽に読んでいられない、つらい展開が5冊に収められている。
いつから日本はこのようなゆがんだねじれた社会になってしまったのだろう・・・
心が壊れていく・・・これは注射や薬で治るものでなく、どうすれば本来の精神を取り戻せる社会に出来るのだろう・・・
5冊読み終えても答えは出ない、ただ目を逸らさず現実に起きている悲しい事件について考えなくてはいけないのだろう。

黄泉の犬  藤原新也
オウム事件の意味を問う・・・麻原が何故サリン事件まで起こす教団にしたのか・・・その生い立ち、環境、縁者に接し作者が感じた事は。 作者がインド放浪の中で見たものとの対峙・・・ 人の命とは・・・そして「オウム的なもの」に傾斜していく若者の心のありようとは・・・       難しいが、読後何かわかったような気がしてしまった。

以前実際にオウムに入りかけ、修行をし、結局教団には残らず自分で答えを出すという事が大切と理解した方の本を読んだ事がある。どうしても作家名・題名が見当たらないのが残念だ。高学歴で「人間とは?命とは?」などと真剣に考え、眠れなくなるような、本当は純粋な若者が答えを探して教団に入り、教えを乞い、洗脳されてしまったわけだが、名前のわからないその作家が「人に答えを出して貰うのではなく、苦しくても自分で考え見つけていく事が大切」とわかったのだと書いていたと記憶している。そして「誰も神にはなれない、答えも出せない」と。

ダ・ヴィンチ・コード(上・下)   ダン・ブラウン
全世界で読まれていて、現在2006年トム・ハンクス主演で映画になり上映中の作品。
本のカバーに「キリスト教の根幹を揺るがし、ヨーロッパの歴史を塗り替えた巨大な謎の本流ーー世紀の大問題作!」
とあります。これはキリスト教やその時代からの主にヨーロッパの歴史などについて知らないと本当に理解は難しいかも。
日本人が漠然と思うキリスト教ではなく、各時代に権力を持った者に翻弄され、利用され、真実の姿とは遠い形で現在我々は見ているのかもしれない。宗教はいつの時代も完全に祈りと心の平和を求めるものの為だけにあったのではないということ、それは日本の古い仏教でも然り・・・  中東でも然り・・・ このような人間を神は何と見ていらっしゃるのか・・・

信長の棺  加藤 廣
戦国時代、特に信長、秀吉、家康を主人公にした小説は数え切れないほどある。
一時期、司馬遼太郎・山岡宗八・吉川英治・堺屋太一・津本陽・etc.等の作家の小説を沢山読んだものです。
そこで必ずもし、もし信長が死ななかったら・・・?日本はどうなっていたか、などと考えたものです。
この本は信長は本当に本能寺で亡くなったのか、そうすれば遺骸は、遺骨はどこに?というテーマで違った視点から書かれていて実に面白い。

太公望 (上・中・下) 宮城谷昌光
長い歴史と広大な土地の中国、スケールの大きな作品です。それも紀元前の物語、中国四千年というけど実に長い歴史を持ったすごい国なのですね。今、長い病床にある友人の薦めで読み始めました。
結末が今ひとつふ〜んと言う感じで終わりましたが、国が栄えるのも滅びるのも上に立つ者の叡知と度量にかかっている、何千年とその繰り返しで現在に至っているが、人間はまだ学習出来ていない。

カウントダウン広島(shockwave countdown to Hirosima) スティーブンウオーカー 
ニューメキシコ州で核実験を成功させその原子爆弾をテニアン島に移し、日本にB29で運んで広島に落とすまでを時間通りに克明に追っていく・・・それはノンフイクションなのだけれど、実際かかわりあった人達の取材などを沢山いれてあるのでまるで映画を見ているような気分にさせられる。
戦争を早く終わらせるためにと言う名目の下に、あってはならない行為だと思うが、それはアメリカにとっては正しい行為とされている。本音はもっと違う所にもあると聞く。筆者はそれにはふれていないのが寂しい。

検屍官シリーズ(1〜10) パトリシア・コーンウエル
主人公のドクター・スカペッターとコーンウエルを重ねて読んでしまいますね。
仲良し?のマリーノ警部ももう頭の中でしっかりと映像化されてて、姪のルーシーと共に私たちには実在の人物のよう。
この作者の他の作品で「スズメバチの巣」や「ハマー署長」シリーズが出てますがどれも検視官シリーズに比べたらがっかりもの。

雪の狼(上・下 グレン・ミード
これも、読み出したら止まらない面白さ。第2次大戦中のソ連とアメリカを舞台にハラハラドキドキの展開、思いもかけない主人公2人の運命と劇的な出会い。何度読んでも面白いので、この作者の「熱砂の絆」を読みましたが、「雪の・・」に比べると今ひとつ・・・

合衆国崩壊    トム・クランシー
日本の旅客機が合衆国の議事堂に突っ込むという場面から始まる世界が舞台の面白作品。
例によってアメリカの強さと正義ぶりが前面の内容。これを読んだときは大分前で映画なら面白いと思ってたら、実際に2台の飛行機に突っ込まれビルが崩壊していく様子をテレビで見てビックリ!この本を読んでた方はエー!と思ったはず。


宮本武蔵(1〜8)  吉川 英治
長くても苦にならない作品というのは、作者の力量がとにかくすごいとしか言えない。
こういう作家がだんだんいなくなってきている。宮本武蔵の人間性は人生の師となるべきものなのか。


銃口、海嶺(1〜3)、ちいろば先生物語、天北原野、それでも明日は来る、etc  三浦綾子
まだ三浦先生が活躍していらした頃、旭川に住んでいたので一度デパートの中をご主人に手をとられゆっくり歩いていらっしゃるお姿を拝見した事がある。その頃でももうお一人で十分書く事はおつらく、口述筆記してもらっておられたと聞いていた。
ご病気にもかかかわらず大作を出されていくそのエネルギーにはただただ感服するしかない。
信仰の厚さは随所に窺がえ、それは本当に純粋な無垢な心からのもので、信仰を持つ人の強さでもあるのだろうか。


大地の子(1〜5) 山崎 豊子
NHKでもドラマ化され知らない人はないでしょう。
普通原作とのあまりの違いにがっかりすることが多いのに、良く出来てたなあという印象を持ちました。
それにしてもこの作者の取材力とエネルギーにはもう感心するしかないですね。
主人公の中国での生き様はあまりにもつらく、読んでいてこれほど心が入った作品は無いです。


沈まぬ太陽(1〜5)
これも山崎豊子の力作、航空業界と財界、政界,官僚のどろどろした中で翻弄される主人公。
今の外務省や政界の様子を見てるようで、面白くてたまらない。面白いけど、これが今の日本の現実じゃないかと思うと、うすら寒い気がします。他にもこの作者は大作を沢山出してますが、すごいというしかない。


沈黙        遠藤 周作 
これは皆さんご存知の作品。読んでいてつらかった。
でも遠藤さんのこういった作品、「海と毒薬」などもすばらしいですね。


李陵・山月記  中嶋 敦  (角川文庫)
古典や漢文の時間が苦手だった私にも面白く読めました。
中国古典に材をとり、人間の存在とは何か、を鮮烈に問いかける中嶋敦の代表作とあります

銀の匙      中 勘助  (岩波文庫)
夏目漱石が高く評価した作品で、子供の世界の描写として未曾有のもので、描写がきれいで細かいこと、文章の響きが良いことなどを指摘してます。本当の日本の姿を見る思いで読みました。おすすめです。


旅人        湯川 秀樹  (角川文庫)
作者の自伝ですが、昭和のはじめの日本の姿が興味深かったです。
現在はじっくり物事を考えたり、見つめたりという時間を持たなくなったような気にさせられました。


かくて歴史ははじまる 渡辺 昇一
もしこの本が中学か高校で教科書のサブ本だったら、授業も楽しかっただろうと思いながら読みました。


悲しくて明るい場所   曽野 綾子
私はこの本を読んでとても気が楽になりました。今落ち込んでる方是非読んでみてください。
五木寛之の「生きるヒント」などと同じく心の持ちようを示唆しています。


親鸞とその時代  平 雅行  (法蔵館)
宗教は苦手な私ですが、この作者の親鸞やこの時代の宗教の捉え方が実にわかりやすく、面白い。
苦悩する女性・民衆はいかにして親鸞に救われたか?とありますが、歴史的背景などと良い勉強になりました。


 絹の変容    篠田 節子
思い出してもこわくて気持ち悪いんですが、この方はこういう作品の方が面白い。
あと「神鳥」などもホラー作品ですね。


 奪取       新保 祐一
この作家の「ホワイトアウト」を読んでこれは楽しいと、次々読んでみましたが、今ひとつで中ではこの「奪取」が偽札を作っていく過程など実に細かく興味深く楽しめました。


プリズンホテル春、夏、秋、冬    浅田 次郎
  天切り松闇がたり
  きんぴか

こういう極道シリーズと、「蒼穹の昴」「鉄道員〜ぽっぽや〜」「見知らぬ妻へ」などの作品とのギャップが実に愉快。本を読みながら一人でくすくす笑うという絵図は他人から見るとへんなやつ!とみえるかもしれないが、この作家のは声を出して笑ってしまう。どちらのタイプの本も好きな作家の一人で、田辺聖子の姥シリーズなどと同じ、語り口がぽんぽんと軽快。

 壬生義士伝(上下)   浅田 次郎
私は久しぶりに泣きながら本を読んだ。
浅田次郎の巧い話の構成にわかっていながらも泣いた。きっと東北南部藩にゆかりのある方はもっと心に響いたのではと思います。南部藩の足軽の侍が何故新撰組に入り、どうやって死んだか・・・
何人かの語りで話は続けられていく、実に巧い語り口で楽しめた本です。

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