チタンの特性について
チタンは、鉄、アルミニウムに次ぐ第3の金属と言われ、軽く、強く、さびないという特性を利用して、航空宇宙など先端技術から、眼鏡フレームなど身の回り品に至るまで幅広い需要分野を持っている。
- チタンの諸特性
- 軽い
比重4.5で銅やニッケルの約半分、鋼の約6割である。
- 強い
純チタンの比強度はアルミの3倍、鋼を上回り、チタン合金では特殊鋼以上である。
- さびない
耐食性はステンレス鋼を上回り、対海水性は白金並である。
- その他
耐熱特性、人体適合性、弾性特性などもある。
- チタンの性質−ガスとの反応
チタンは、酸素、窒素、水素との親和性が大きいために、色々な環境下でこれらのガスと反応し、きわめて安定な酸化物、窒化物を作り、ときには水素ガスの内部吸収を起こす。
- 酸素
空気中には酸素が20%あり、この酸素と反応して酸化膜(虹色・光の干渉色)を形成する。この膜は非常に緻密で強固であるため、不働態化皮膜と言われる。空気中でチタンを加熱すると、膜厚に応じて色相変化を示す。色相の変化は250度から起こり、温度上昇と共に明色から暗色になる。
- 窒素
窒素との反応による窒化被膜は、チタンの表面をいちじるしく硬化させるので、耐摩耗性向上のための表面処理法として活用されている。
- 水素
水素との反応は、酸素、窒素と異なり可逆的反応で、チタンの表面だけでなく、内部への拡散が非常に速いことも特色である。水素がチタン内に多量に侵入すると脆化現象を起こす。したがって、チタンの加熱は、できるだけ水分、水素の影響をさける配慮が必要である。
- チタンフレーム
- Ti−P(純チタン)
- 純チタン
純チタン(もしくはチタン合金)で各部品を作り、溶接、ロー付、研磨後に表面処理を行う。ただし、ネジ、ワッシャーなどが他の材質で作られている。
- 部品メッキチタン
フレームの一部の部品をチタンで作り、これに部品の段階でニッケルメッキを施し、他部品(洋白、モネル、新合金)とロー付し、研磨後に表面処理する。一般的には、リム、テンプルはTiであるが、山、フロント、ヨロイ、クリングス各種部品(丁番、リムロックなど)はチタン以外の素材で作られた物が多い。
- Ti−C(チタンクラッド材)
一般的にテンプル、リムにニッケル(もしくはニッケルクロム)張りチタンを使用し、他の部品には洋白、モネル、新合金を利用したものが多い。また一部では、部品メッキチタン部品と組み合わされているものもある。ロー付後、研磨、表面処理は部品メッキと同様である。
以上のように現在市場に出回っているチタンフレームは、表示記号だけでは詳細な素材の内容は不明であり業界での取り決めはあまり守られていないのが現状である。