「カラオケ物語」 第4話「学生カラオケ大会(本選編)」中編
次の日・・・・・ 「ピンポンパンポ〜ン。お知らせします。今日カラオケ大会に出場される みなさんは、至急歌う曲のテープを持参の上、会議室に集まって下さい。」 朝のホームルーム時、一斉に仁木の方に視線が集中した。 仁木は立ち上がり部屋を出る・・・・。所々から「頑張って」の声が聞こえてくる 「あいつ・・・結局俺にも何歌うか教えなかったなあ・・・・。」 立山がつぶやく。 彼の構想がまとまって早二日、立山はちゃんと仁木が歌えるようになっているのか 少し心配だった。何分相手は下市を筆頭に上手いヤツばっかりなのである。 さて、所は会議室。そこにはすでに、仁木を含む本戦出場者16名が集まっている。 「それでは、一人ずつ曲名とそのカラオケテープ及びCDを係の人に渡してください。」 大会責任者が言うと、早速列が動き始めた。 今回の本戦出場者は全部で16人、見たところ男性7人と女性9人である。 そしてそのほとんどが、何か音楽系の部活に所属している人達であった。 さて仁木の出番が来た。基本的に今大会の一番の優勝候補なので みんなの意識は皆そちらの方に傾いていただろう。 仁木は一枚のCDを出して、小声で言った。 「じゃあこれお願いします。曲名は?????????です。」 周りからは何の反応もない。良く知られている歌なのだ。 続いて下市の番だ。同じくCDを出して。普通の声で。 「曲名はルナシーのSTORM。」 「えっ!」 とっさに反応したのは仁木である。 「はい、以上ですね。それでは最後に連絡します。 本番は11時から、場所は第二体育館なので、その時間までにそこの ステージ裏に集まって下さい。そこで歌う順番などを決めたいと思います。 予選から見てきましたが今回はよりレベルの高い大会になりそうです。 それではみなさん精一杯頑張って下さい。」 大会委員長からの言葉も終わり、仁木は教室へと足を運んだ。 その途中で、彼は下市と同じ方向にすれ違った。すると彼はとっさに 「WANDSじゃ・・・ないんだね・・・。」 前の方にいる下市に向かって言葉を投げた。すると下市はふと振り返って。 「ああ、何か文句でもあんのか。」 しかし、仁木は少しも焦らずに 「歌ってみた?WANDS。」 「・・・あいにく、そいつはあんまり好きじゃないんでね。」 そういったまま、下市は教室に入っていった。 「そっか・・・ちょっと残念だなあ・・・。」 教室に戻ったら、もうすでにホームルームは終わっていて、 彼の机の前には、平中と立山がいた。 「仁木君!いよいよだね!」 「うん。」 「・・・・で、どうだった。会議室は?」 「まあ、いつもの事だね。CD渡してそして・・・。」 その時! 「わ〜〜〜〜。」 同じクラスの女性数人が仁木を取り囲んだ。 「仁〜木君!!私たち応援に行くからね!!」 「絶対頑張ってね!!」 「優勝できるよ、仁木君なら!!」 「期待してるからね!!」 「仁木君の歌聴きたいなあ!!」 「あのいい歌、もう一回聴かせて!!」 「仁木君!!!ファイト!!!」 そう言うと、彼女たちは慌ただしく教室を出ていった。正に一瞬の出来事だった。 「な・・何だったんだ今のは・・・。」 「な・・なんなの・・あれは・・・仁木君大丈夫?」 「は・・・は・・ハハハハハハハ。」 「・・・・仁木にはちょっと刺激が強すぎたなあ・・・。」 さて、時間は11時。所は第二体育館ステージ裏。 仁木を含む。16人が大会最後のミーティングを行っている。 「では、これより順番を発表します。この用紙に書いてありますので みなさん順々に取りに来て下さい。」 さてその用紙には、歌う順番、歌う人、曲名、などが書かれている。 この用紙は、今回この大会を見に来た生徒にも配られる予定の物である。 それでは、その内容をお見せしよう。 カラオケ大会出場者リスト
曲名氏名部活&学年
Hello Agein(マイラバ)麻葉 麗美合唱部2年
for the moment(ELT)西村 純菜放送部3年
誘惑(GRAY)岩倉 高雄ロック部2年
ドキドキ(ジュディマリ)矢部 美代子テニス部3年
冷たい頬(スピッツ)新橋 剛合唱部2年
恋心(相川七瀬)大林 優美合唱部1年
Love me I love you(B'Z)太田 勇二合唱部3年
Can you celebrate(安室奈美恵)倉敷 玲子吹奏楽部1年
携帯哀歌(東京プリン)堅野 慎無所属3年
Storm(ルナシー)下市 光二ロック部3年
片思い(ジャンスマ)宮川 奈津子放送部2年
BAD LUCK ON LOVE(トーコ)水島 流美合唱部1年
???(??)仁木 友信無所属3年
DIVE TO BLUE(ラルク)三浦 忠志演劇部2年
Red Angel(ポケビ)坂樹 志織合唱部2年
Departures(globe)藤田 美里演劇部3年

#歌手名は短縮した物もあるので注意!! 以上見て分かるとおり、仁木の出番は13番目、下市の出番は10番目に分けられた。 「と言うことで、今からカラオケ大会を始めます。1〜3番までの出場者は 準備をして下さい。他の出場者はとりあえず、自分の2曲前になったら ここに来て待機するようにして下さい。それでは健闘を祈ります。」 ステージの外にはすでに人が集まっている。 ものすごい人数だ。これが楽しみで今日学校に来た人も少なくない。 「とりあえず、最初は観戦者として見ようかな・・・。」 そう思った仁木は立山を捜した。 「あ、いたいた。」 立山は体育館のややステージ側に座っている。 仁木は人混みをかき分け、何とか立山のいる所までたどり着いた。 「ふぅ〜、全く何で俺が男と一緒に催し物を見なければならんのだ。」 「まあ良いじゃない・・・。お!始まるぞ・・・。」 周りが急に暗くなった、するとドラムの音が聞こえてくる。 ドドドドドドドドドドドドドド・・・・・・・・・・・・・・ 「第16回!!文化祭カラオケ大会〜〜〜〜〜!!!」 ステージが明るくなり、音楽が鳴り響く。そして陽気な男女がステージに現れる。 今大会の司会者だ。 「ハーイ!始まってしまいましたね〜。この文化祭一番のイベントが!」 「そうですね!観客のみなさんも、今か今かと待っていたかと思うんですよ!」 「と言うことで、今回私、館間晴弘と。」 「私、天波麗奈が司会を務めさせて頂きます。どうぞよろしくお願いします!」 その後司会者は審査員紹介を経て、今回の賞品の発表に移った。 「さて、今回の賞品は何かな?」 「はい、1〜5位までの人には素敵な賞品をプレゼント致します。」 「そしてその内容は?」 「・・・・まあそれは入賞してからのお楽しみと言うことで・・・。」 「去年と同じだね、たっちゃん。あれ?たっちゃん?」 仁木が話しかけると、立山の様子が少しおかしい。じっとステージを見ている。 「・・・ここに来て無視はないっしょ。ねぇ、たっちゃん!」 「可愛い・・・。」 「えっ?」 「むっちゃ可愛いなあ、あの娘。」 「あの司会者のこと?う〜ん確かにそうだけど・・・。」 「ちぇっ、俺も出れば良かったかなあ・・・。」 そう言う話をしている間に、エントリーナンバー1が司会者に呼ばれた。 「よろしくお願いします。」 「麻葉さんは、今回あのマイラバの名曲を歌うのですが、自信の程は?」 「・・・・頑張ります。」 「はい、それではスタンバイの方お願いします。 さて、今回本戦出場者はわずかに16名、その厳しい条件の中でも 合唱部は6人出場しています。やはり餅は餅屋、寿司は寿司屋、芸は芸者・・・。」 バン!! 司会者の頭にハリセンが・・・。 「・・・・大変失礼いたしました。やはりお家芸と言うのはあるのかも知れませんね。 それでは歌ってもらいましょう。『My little lover,,,Hello Agein』」 前奏が始まり、彼女は歌い始めた。さすがに合唱部、非常に上手い。 「どうですか、仁木さん。」 立山が手をマイクにして、仁木に近づけた。 「う〜ん・・・確かに凄く上手いんだよねぇ。でも何か違う気がする・・・。 この歌って特に表現が大事だから・・・。大分難しいと思うけどね・・・。」 「表現ねぇ・・・。お前の歌う歌もそれ系じゃない?」 「・・・・まあね。」 やがて、彼女は歌い終わった。 「はい、ありがとうございました。緊張しましたか?」 「・・・・はい。でもちゃんと歌えたと思います。」 「はい、エントリーナンバー1の麻葉さんでした〜。みなさん拍手〜!」 たくさんの拍手が彼女に向けられた。 さて、ここからは仁木の厳しい批評と共に曲を聴いていきましょう。 ナンバー2。for the moment 「この娘も凄く上手いね。声も綺麗だし。でも伝わってくる物がないなあ・・・。」 ナンバー3 誘惑 「この歌は辛いんだよね。今のところは上手いけど最後までこの調子で 歌い切れたら大したもんだよ・・・・・。あ・・・ずれた。」 ナンバー4 ドキドキ 「可愛い声だなあ・・・。結構はまってるね。でも歌唱力に問題があるか・・・。」 ナンバー5 冷たい頬 「おっ!これは凄い。サビの一番高いところが決まった・・・でも裏声か・・・。 戻し方が甘いかな。少しずれてる。」 ナンバー6 恋心 「結構上手いけど・・・はまらないなあ・・・。」 ナンバー7 Love me I love you 「・・・・歌唱力は平均点越え。やっぱり表現が・・・・なあ・・・。」 ナンバー8 Can you celeblate 「お!この娘も可愛い声。それにそこそこ上手いぞ・・・あ・・・ この歌こそ、より繊細な表現力が必要だというのに・・・。違うなあ・・・。」 さて、いよいよ下市の手前まで来てしまった。 「では次、エントリーナンバー9の方どうぞ〜。」 「あ、あの人は!『昴』の人・・・。」 「ようこそおいで下さいました。あなたは見たところ無所属のようですが・・・。」 「ん、帰宅部っす。だるいの苦手で。」 「今回歌う歌は・・・どういう歌なんですか?」 「聴けば分かる。だまって聴くべし。」 「・・・は、はいそれではスタンバイお願いします。 数多くの予選参加者の中、今回は無所属の人が二人も勝ち残りました。 過去このような例は一度もありません。 それでは歌って頂きましょう。『東京プリン,,,携帯哀歌』」 堅野が歌い始めた。しばらくすると会場が笑いの渦に・・・・。 「な、、何だこの歌は!?」 「でも凄く上手いよあいつ。ポイントをしっかりと押さえてる。 知らない人にとっては、ものすごい衝撃だろうなあ・・・。」 彼の歌は非常に客受けが良かったらしく、曲が終わるとものすごい拍手が 彼に浴びせられた。 「新たなライバル出現か?」 「いや、公式的な審査では彼の歌はどう評価されるか分からないよ。」 会場はまだざわついている。その中でエントリーナンバー10が呼ばれた。 「下市のヤツ、今回はかなりやばいんじゃないの。」 「うん、ほとんどの客がさっきの曲のインパクトにやられてるからね。」 下市がステージに出てきた。ロック部らしい格好だ。 「さあ〜〜!!出てきました!前大会見事優勝した男。下市光二さんです!!」 「こんちわっす。」 「どうですか、今回も優勝できそうですか?今回相当レベルが高いと思うのですが。」 「大した事ないな。これなら優勝できる。」 「・・・・相変わらず毒舌ですねぇ。でも上手いですからねぇ。」 「でも本当に優勝できるかはまだ分からない・・・。これから先によるさ。」 「それは、後の方にうまい人がいると言う事ですか?」 下市は司会者をにらみつけた。 「あ・・・あ・ああ、そ・それではスタンバイして下さい。 前大会出場者、彼はその中でも圧倒的強さで文句無しの優勝だったそうです。 今大会彼を負かせる事の出きる人はいるのでしょうか。 そんなことが出来る男がいるとしたら・・・。 それでは歌ってもらいましょう『LUNA SEA,,,Storm』」 下市が歌い始めた。 「おい・・・あの毒舌でさらにやばくなってんじゃねえか・・・。」 「確かにそうかも知れないけど・・・・・ん?・・・あ・・・。」 仁木が一瞬言葉を失った。 「どうしました仁木さん!」 またも手をマイク代わりにしてインタビューする立山。 「す・・・すごい。この歌唱力と表現力・・・・。他を超越してるよ彼は。 この歌で・・・しかも男で・・・ここまで歌えるなんて・・・。 ライブの時とはまた違う繊細さもある。あいつ・・・まさか。」 「と言うと、彼はライブとカラオケで歌い方を分けていると?」 「あの人は・・・僕と同じ・・・。考えて歌うカラオケをする人なんだ!」 突如として出てきた意外な新事実! 信じられないほどに歌が上手い下市を相手に勝算はあるのか? 何を歌うんだ仁木!!教えてくれ!(頼むから) 次回、波乱の後編を待て! -to be continued- 今回の出場者の歌について。 結構適当に選んだつもりですが・・・。 まあ、高校生ならカラオケで誰しも歌いたいと思うような曲 そして、個人的好みとかを考えて。それでうまく歌えそうな曲 そう考えて、全体的におとなしめの曲が多くなりましたが。 カラオケ大会の場で、激しい曲を歌うと言うのはあまり無いと思ったので。 まあ、中にはそういうの無しで歌う人もいますが。 ただ、中にはそう言うのを超越してこの曲が得意というのもあります。 それら全てを考えて出したのが今回の「出場者の歌」です。 適当じゃないですね。(笑) さて、この中で知らない曲はありますか? あるとしたら、一般的に見て1曲だけでしょう。 「ジャンスマ」とは「Jungle Smile」の事で男女一人ずつのグループです。 「片思い」はシングル曲で、それらの歌の中でも一番有名だと思います。 他で分からないのありますか? トーコ?、東京プリン?、ラルク?、ポケビ?、 分からないところがあったら、メールで送って下さい。説明しましょう。


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