(平成28年医師協同組合会誌に投稿したもの)

綱引き10年

 平成18年の順化地区区民体育大会の綱引きに出場したことがきっかけで、地域の綱引きチームで練習するようになってから今年で10年が過ぎました。単純だけど奥の深い綱引きの魅力にとりつかれてしまい、始め3年間は県選手権平和堂カップなどの本格的な競技綱引きの大会に参加しておりました。しかし、あまりにのめりこんでしまった結果、診療や家庭への影響が出始めたため、その後は自重してここ数年は運動会や福井市民大会といった緩めの大会への参加に留めています。

 

 福井市民体育大会は毎年6月から7月にかけて福井市内各小学校区の代表が参加する大会です。地域による温暖差はありますが、私の住む順化地区では応援などに熱が入り、壮行会や慰労会も盛大に催されます。福井市民大会の綱引き競技では鷹巣地区の力が圧倒的で昨年まで13連覇していました。私の順化地区はここ数年は毎年2位から3位で、鷹巣地区の熱い壁に弾き返されていました。平成28年は6月5日に福井市北体育館で開催されました。

予選リーグ第一戦は初出場の森田地区。綱引きは初心者と経験者の差が大きく出る競技です。経験者の主婦のチームが未経験者のプロレスラーチームに勝つほどです。森田地区との対戦では綱引きの楽しさを味わっていただくために「指導綱引き」として体を後方に倒して体重をかけるだけでゆっくりと引いてあげました。

 第二戦と第三戦は東藤島地区と社南地区。この2チームは毎年出場していますが、必ずしも綱引きを専門としていない、恐らく「直前に召集される」チームです。ある程度の経験は積んでおられますが、力任せに引くだけなので、こちらは「技」でじりじりと引いて難なく勝てました。

 第四戦は麻生津地区。徐々に強いチームと当たるようになっていきます。このチームは年間を通して練習しており県選手権にも出場してくる、綱引きを専門にしているチームです。こちらも真剣に対戦します。油断することなく多少の危機感を持ちながら始めから全力で引き、26秒で勝てました。

 これで予選リーグ1位で決勝リーグへ進出です。実はもう一方のリーグには13連覇中の鷹巣地区、若者の多い新鋭の清水北地区、昨年3位の宝永地区が名を連ねております。もし、くじ運悪くこちらのリーグに入っていたら予選通過も難しかったかもしれません。

 決勝リーグ第一戦は鷹巣地区。この日一番の緊張感を持って臨みました。最初は拮抗していましたが、今年は例年と違って徐々にこちらへ綱を引いてくることができました。実に14年ぶりの鷹巣戦勝利でした。これでいやがおうにも優勝への期待が高まります。

 決勝の清水北地区は若者が多いとは言え、始めは順化地区が練習方法などを指導してあげた「弟子チーム」です。胸を貸すつもりで試合に臨みました。しかし、強くなっていました。最初はこちらが少しずつ引いていたのですが、若者たちの衰えぬ持久力に引き返され始め、その後一気に引ききられました。もう少し「決勝戦らしく」なるようにゆっくり引いてくれたらよいのにと思いましたが、地区の期待を担っていますのでそういうわけにもいきませんでした。かくして今年も準優勝でしたが、充実した一日でした。