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神様の領域

私たちがこういう仕事をしていると親から離すのがあきらかに早く、未成熟な弱った仔猫と出会います。

最近の出来事にも書きましたが、また不幸な仔猫が拾われてきました。この生後二週間くらいの仔猫も今後生き残れるかというと、それは神様が決めること。

時々、仔猫を拾った、もらったといって来院されるこの様な未成熟猫等場合、獣医が注射一本で治せるといった単純なものではありません。ひたすら保温、猫ミルクの強制投与。これだけです。あとは本当に神様におまかせです。

「獣医だから病院なんだからなんとかして。」と期待されて来院された方にこういうと、割とがっかりされるのですが、未成熟な動物が生き残るかどうかは獣医の領域ではなく、神様の領域なのです。

なんていうか・・。なんとなく分かりますか?

そんな神様の領域に挑戦する私たち。なんとか、この三匹を生還させるぞとがんばっています。でも、がんばっていた、つばめ(雛)ちゃんがやっぱり亡くなってしまったりして気分はブルーです。野鳥はほとんど助からないと分かっていても落ち込んでしまいます。つらいなぁ。

仔猫たちはなんとか流し込むミルクを飲んでいます。でもって、私は仔猫たちのいるはずのない母親の乳房を捜すしぐさにまた胸が苦しくなるのでした。私の指や湯たんぽを吸ってもなにも出てこないんだよー。と心で叫びながら。

この子達かわいいと思う前に今回はかわいそう、あわれだなぁと感じてしまいます。ちょうどうちの犬、みうちゃんもこんな感じで保護されたんだっけと思い出したり。娘が赤ちゃんのときもこのように乳房を吸ってきたっけと考えながら世話をしています。

これを書いている今も涙が出そうです。

この仔猫達をすてた人はとりあえず目の前から消えてくれれば楽になると思って捨てたのだろうけど、生後2週間なんて生きていける訳ないじゃない。殺すつもりだったんだよね。自分で手を下さなくてズルイやり方だよね。卑怯だよね。これって十分罪だよね。あんた、罪深い事しているんだよ。と、言ってやりたいよ。もう。

最近、物騒な事件が起こったり、人間て本当に罪深いなぁと思う今日この頃でした。

 

みうちゃん うちの犬 神様の領域からの生還犬

雑種 メス 2000年11月生まれ

公園で高校生が保護、警察にとどける。警察はうちにとりあえず泣きつく。「仔犬が八匹保護されてきた。」と電話で聞いていたので、警察官が来院した時には驚いた。クーラーボックス2個を下げて来たから。「犬は?」と思っていたら何と1箱に4匹づつ入っていた。これはうちに泣きついて正解。素人ではちょっと無理。私たちでもちょっと無理カモ。と思った。

みうちゃん、生後5日目の事だった。

8匹も生まれたのだから大型犬の血筋で、ひょっとしたらゴールデンかラブラドール系?と院長は言ったが、後日成長してみると、よくいる雑種犬だった。仔犬の人相?って小さいときはわからないものだとつくづく思った。

とりあえず、育つようだと分かるまで、しばらく、ミルクやりはキツカッタ。8匹×4〜5時間おき。これでは体が持たないと他の今度は獣医師会所属のほかの病院にうちが泣きついた。「離乳が終わるまで助けてください。」と。二ヵ月後離乳が終わり、里親を探す頃に、またうちに戻ってきた。里親にもらわれていった子もすでにいた。

茶系の子は貰い手がついたのにうちで育った白系3匹は遅くまでうれ残っていた。白のほうがかわいいのにな。と思っていたのに。

みうちゃん4ヶ月の事だった。

なんとか貰い手がみつかり、最後に残った二匹のうち、一匹手元に残したのが、みう。

白系の中では一匹だけ毛がペタンとしていて耳が立っている子だった。

名前の由来は私が海がすきだから『うみ』にしようと言うと院長がそのままずばりでは芸が無いと名前を逆さまにした。『み・う』当時同名の飲料水が売られていてこの名前もそのままスバリだとはちょっと院長には言えなかった。

生後4ヶ月まで兄弟にもまれたみうは腰の低い犬になった。

犬を飼うのははじめてだったので、とりあえず本に書いてある手入れ法とかを参考にした。

院長の大型犬の子かもしれないという言葉を信じていたので、大型犬用の食餌と量を一年間与えた。

一年後、他の兄弟犬と比べると、みうは一番大きかった。兄弟犬皆、レトリバー系とは別物だった。

 

ハリーくん
生まれたときから不要犬だった。このまま、避妊手術として処置をし存在しない事になるはずだった。
兄弟三匹闇から闇へ・・・。ところが
ほとんど月足りた子だったからかすぐに蘇生した。(体が大きかったのできちんと埋葬しようとへその緒も切ってきれいにしてあげようとしたため)
帝王切開でいくら蘇生しても息を吹き返さない子もいる中で袋を破っただけで蘇生する子は「生きる資格がある、子の子達の生きたいという気もちが私の目の前で息を吹き返させたのではないか」とそう思わせた。

まだ寒い日、密かに実家に移された子達は仮ではあるが安息の地を得たのであった。
母乳を1滴ものまない子達の為、育つかどうかかなり心配した。なんとか無事育ち、3ヵ月後生まれつき足の悪いハリー君以外は新しい家族に迎えられていった。
もちろん、ハリー君は元からここのうちのこだと言わんばかりの態度で実家に居座っている。
父にとってはよい散歩相手の様だ。