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外部寄生虫について

(ノミ・マダニなど)

陽気も良くなり、皆様の愛犬や愛猫も日差しの中で元気に走り回ったり日向ぼっこをしていることでしょう。ですが、この陽気に誘われるのは犬や猫だけではなくノミやダニ等の外部寄生虫の活動も活発になります。今回はこれらの外部寄生虫についてお話したいと思います。

 外部寄生虫とはノミ・ダニ・シラミ等の皮膚(外部)に寄生する寄生虫の総称で、それに対し前号で紹介したフィラリア、条虫(サナダムシ)、回虫といった体内に寄生する寄生虫は内部寄生虫と呼ばれます。

 外部寄生虫の中で最も疾病率が高い原因はノミによるものです。ある論文によると、犬の外部寄生虫による65%がノミによるものであり、マダニによるものはその5分の1の約15%だそうです。日本には約70種類のノミがいますが犬や猫に寄生するノミの約96%がネコノミです。ノミが寄生してもなかなかノミ自体を見つけることは難しいのですか、毛の間をよく観察して小さな黒いノミの糞を見つけることで、その指標とすることができます。

 ノミによる疾病としてはアレルギー性皮膚炎が最も頻発する疾病です。これはノミが犬やネコを吸血したときのノミの唾液に対するアレルギー反応が原因で起こります。症状としては腰や内股を特に痒がり、脱毛や皮膚の発赤をもたらします。また、ノミは条虫(サナダムシ)の中間宿主であることから、犬や猫に条虫を寄生させる可能性があります。問題は犬や猫だけでなく、飼い主の方にも被害を及ぼすことがあります。ノミに刺されるとその部分は強い痒みを伴い発赤します。一部の人ではアレルギー反応を出すこともあります。

 ダニにはマダニ、カイセンダニ、ニキビダニなど多くの種類がありそれぞれいろんな疾病の原因となります。大きさも5mmくらいのものから、肉眼ではわからない0.1mmくらいのものまで様々です。マダニは吸血することで、バベシアという赤血球に寄生する原虫を媒介し、高熱と貧血をもたらし、カイセンダニは顔面や手足などに激しい痒みをだす疥癬症を起こします。ミミヒゼンダニは通称ミミダニと呼ばれ、耳の中に寄生して激しい痒みをもたらし、ニキビダニは皮膚の毛根に寄生し、毛包炎と呼ばれる皮膚炎を起こさせます。

 もちろんこういった病気になって病院に駆け込む前に、予防できるものは予防しましょう。ノミ・マダニに関しては予防可能です。今では優れた駆虫薬が開発されていますから、近くの動物病院に相談してみてはいかがでしょうか?

2001.5.5原稿寄稿