「カラオケ物語」第二部 第2話「prologue」後編
赤川 昭介= 「7番目なんて順番的に結構良い位置だよね。」 「まぁ、これも日ごろの行いが良いせいかな。」 「ああそうだな・・・って自分で言うか!」 その頃丁度ノリ突込みが流行っていた時期だった。 いや・・・それは嘘だ・・・。今のお笑いと比べたら 当時のお笑い技術では、とても一般人がノリ突っ込み出来るレベルには・・・。 まぁ・・・そんな事はどうでもいいけど・・・気になる事が一つ。 そういえば・・あの人たちは何番目なんだろう? 「な・・なぁ・・・。北陸Aチームって何番目だった?」 「ええと・・・確か三番目だったかな。」 「そうか・・じゃあ結構早いんだな。」 「それと・・・。」 「ん?」 「確か関東Aチームが二番目だった。」 「な・・・!それじゃぁ。」 「そう、優勝候補の次って事。」 位置的には最悪のポジションか・・・。 「それでは一番目の方どうぞ〜!」 いよいよ大会が始まった。 一番目は近畿Aチーム、男女混合、内らと一緒だ。 今回の大会出場者のほとんどは「男女混合チーム」だった。 実に16チーム中12、かなりの数になる。 その中でも特に多いのが「女二人男一人」のケース。 その辺がうちらと違うところ、大抵歌がうまいのは女性の方だし 男はおまけみたいなもんだからね。地区大会ではそうだった。 でも、ここは全国大会。おまけと言うわけにはいかないよな・・・。 内らだって、男二人はおまけじゃないんだから。 「では、歌ってもらいましょう・・・。」 今回の大会は前も言ったけど「三人で歌う」「二人で歌う」「一人で歌う」の3つの成績を争う。 一番最初に歌うのは「三人」の曲だ。さてここで全国大会的なルールがあるんだけれど、 「三人曲はフルコーラスを歌う」事になっている。地区大会ではワンコーラスだったけどね。 「一人二人はワンコーラス」 これを聞いただけでも一番総合成績に影響しそうなのは「三人で歌う」のだと分かる。 でも・・・当時はなぜ「3人曲」だけがフルコーラスだったのか全く分からなかった。 今思えばその答えははっきりと分かるんだけどね・・・。 「はい!ありがとうございましたぁ。」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 今から3年前のことなんて・・・もうほとんど忘れてしまった。 最初の近畿Aチームだって何を歌ったのか覚えてない。イヤ、自分が歌った歌でさえ、もううる覚えだ。 ・・・・でも・・・・でも・・・・・あのチームの歌だけは・・・・あまりにも鮮明に覚えている。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「はい!ありがとうございましたぁ!!」 関東Aチームの歌が終わった。 当時とてもかなわないと思っていた女性だけのグループ。その歌も今は思い出せない。 「さて次は3番目、北陸Aチームです!」 「お!出てきたな・・・・さぁてどれくらいの物か、とくと聴かせてもらおうか!」 「・・・・・・・・・」 なんとなく複雑な気持ちだった・・・頑張ってもらいたい反面・・・ 「はい!それでは歌ってもらいましょう!曲はTMN『GET Wild』」 これを三人で歌うことなんて・・・どう言う物になるのか見当もつかなかった。 前奏が流れ出す・・・三人がゆっくり動き出した。 最初のゆるい前奏・・・これはただ歩くだけ・・・。そして! ダーン!! 強い音楽と共にいきなり思いきった動きをする3人、見たことの無い振り・・・・よく見たら単純? 音のイメージをそのまま動きで表現しているのか?単純な動きだから分かりやすい? えっ?えっ?えっ?なんだ?なんだか目が離せないような・・・。 歌が始まった。 〜♪〜 アスファルトタイヤを切りつけながら、暗闇走り抜ける     チープなスリルに身を任せても、明日におびえていたよ  〜♪〜 う・・・うまい!何の違和感も無く二人が入れ替わった、普通少しは声の差が出るはずじゃ・・・。 〜♪〜 It's your pain or my pain or somebody's pain 誰かのために生きられるなら 〜♪〜 こ・・今度は女の子に入れ替わった、めちゃくちゃ上手い・・・男の歌なのに・・・。 〜♪〜 It's your dream or my dream or somebody's dream 何も・・・怖くわない 〜♪〜 今度はハモった!一つ目のdreamで一人、二つ目で二人、三つ目で三人のハモリ・・・・。 上手い・・・上手すぎる!!それに・・・刻んでるリズムがなんか違う・・・。 〜♪〜 Get wild and tough 一人では解けない愛のパズルを抱いて     Get wild and tough この街で優しさにあまえていたくはない     Get chance and luck 君だけが守れるものがどこかにあるさ     Get chance and luck ひとりでも傷ついた夢を取り戻すよ   〜♪〜 す・・・凄いなんて物じゃない!!・・・・目が離せない!! 「このリズムの取り方・・・・・・・『アフタービート』か!」 志乃森が不思議な事を言った・・・アフタービート? 「アフタービートって・・・・。」 「別名『裏打ち』って言って、基本の4分リズムを8分ずらしたリズムの事。  ほら・・こう・・・んった・んった・んった・んった・て感じのリズムの事だよ。  ダンスステップでは基本中の基本だけど・・・まさかカラオケの振りで使うなんて・・・。」 「あれ?・・・ちょっと待って・・・・。」 僕は音に会わせて4分のリズムを刻んで見た。 〜♪〜 車のライトにキスを投げては、車道で踊るあの娘 〜♪〜 今度はハモリから始まった・・いや・・それより・・・。 「こ・・この歌・・・裏打ちから始まってる!」 〜♪〜 まぶしい夜空をステージにして、妖しくおどけていたね 〜♪〜 「そうか・・・そういう事か!どおりで違和感が無いわけだ・・・。」 〜♪〜 It's your pain or my pain or somebody's pain 誰かのために愛せるのなら     It's your dream or my dream or somebody's dream きっと・・・強くなれる。〜♪〜 一番はどちらかと言えば、「つなぎ」の技・・「コンビネーション」の凄さがあった。 今回は「あわせ」の技・・「ハモリ」が絶妙だ・・・ 常に新鮮な歌声が聴こえてくる、聞き手を飽きさせず一瞬たりとも目を離させない・・・。 この人達・・・・・・・・・・・考えてる・・・・・・・・・・・・・・。 〜♪〜 Get wild and tough 一人では消せない痛み心に抱いて     Get wild and tough この街で自由をもてあましたくはない     Get chance and luck 君だけが守れるものを見つけだしたら     Get chance and luck ひとりでも傷ついた夢を取り戻すよ   〜♪〜 歌が静かな間奏に入る・・・・・・。ここは歩くだけ・・・・。 今までの動きを見ていても、技術的な振りなんて一つも無い・・・でも・・・ 「・・・・・・・・・・・・・」 何も言わない内山・・・ただただこの人達の動きと曲に魅入られている・・・。 かなり高い歌唱力、見事過ぎるコンビネーション、完璧なハモリ、 そして・・・・見てる者を飽きさせない特殊なリズム こ・・・これが・・・ 「これが・・・JKMCなのか・・・・・。BWの中にだってこんな人は・・・。」 〜♪〜 Get wild and tough 一人では解けない愛のパズルを抱いて     Get wild and tough この街で優しさにあまえていたくはない     Get chance and luck 君だけが守れるものがどこかにあるさ     Get chance and luck ひとりでも傷ついた夢を取り戻すよ   〜♪〜 最後の最後まで目が離せなかった・・・・ こんな人達がいたなんて・・・・。 「違う・・・・・・僕達とは全く違う世界の人達だ・・・・。」 歌が上手いとか、技術的に高いとか、そう言ったレベルの問題じゃない・・・。 何もかもがまるっきり違う!! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 今思えば・・・これが「一般人」と「マスター」の違いだったんだ。 まだカラオケについて何も知らなかった自分、何も考えずに歌っていた時代。 その頃の自分には全く見当もつかない世界だった。 歌を聞いた後でさえ気がつかなかった、この差の本当の意味が・・・・。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 絶対最悪だと思っていた「3番目」かつ「優勝候補の次」も、もはや関係無かった。 いや・・・むしろこちらの方がよかったようだ。 この人達の歌を聴いて度肝を抜かされた残り13チームの歌は、もはやなすすべが無かった。 それ相応の歌い方・・・うまいけどそれだけ・・・何となくありきたりな技術。 どうやってもあのチームみたいな絶対的な物にはならない、 すべてのチームがそう思っていたはずだ。 瞬く間に16チームすべての「3人曲」が終了し、続いて「二人曲」に入った。 そこでも「北陸Aチーム」の凄さが光る。 「それでは歌ってもらいましょう!曲はMCAT『ごきげんだぜ!』」 〜♪〜 HEY!!  どきゅ〜んずきゅ〜ん胸打つ、まなざしはかなり     挑発的なやつだ 目立つ Da Party ゴキゲン!! HEY!     まぶいまるい胸には たくらみがかなり     あふれてるよなやつだ デンジャー na lady ゴキゲンだぜ 〜♪〜 ハモリとコンビネーション、時折見せるハイタッチ。すべてが様になっていた、 今回は少し技術的な要素も含まれているようだ。それらすべてがかっこいい。 〜♪〜 Nothing but something もとめてる 実は愛されたい     みんなおんなじ気持ちで 踊る through the night       なんてこったかなりはまってる 朝と帰りのラッシュが死ぬほど嫌いな俺     そのくせこんな風に ひしめきあうクラブでリズムにおよぐのが Goo! もう今週だって月曜以外は通いずめ      汗が気持ちがいいってのが本音だけど 一個だけ気になる事がある     それがあいつ ほらまたこっち見てる いつもいるんだ必ず目が合うし     ちょっとやばいじゃんへそも出しちゃって     なのに無視する素振りなんてゴキゲンだぜ!!              〜♪〜 ラップ・・・・・・交替の絶妙さ、時には二人で歌ったり、ラップの時もしっかり リズムをとって踊ってる、歌詞のイメージを時には大胆に時には面白く・・・。 本来ラップでカラオケ大会にのぞむなんて、絶対おかしいはずなのに。 〜♪〜 ばく〜んどく〜んたかなる 俺の鼓動かなり     調子に乗ってるようだ スリル Da Party ゴキゲン!! HEY!     痛いつらい思いは さよならと決めた     決意が揺らぐようだ デンジャー Na Lady ゴキゲンだぜ      〜♪〜 「あれ?・・・・・・あ・・・そうか・・・。」 二人曲は一番で終わりだと言う事をすっかり忘れていた・・・それだけはまってしまっていた。 対戦者なのに・・・最後まで聞きたいと言う気もちだった・・・・。 「凄い・・・・」 内山がため息をついていた・・・。彼女はただ純粋に聞き入っていた。 レベルの違いを感じずにはいられない、この人達の歌と振り。 でも・・・不思議と「カラオケのレベルじゃない」とは思わなかった。 こんなに上手いのに、プロのミュージシャンと言う感じを全然受けない。 この人達のやってる事は紛れも無くカラオケなんだ。 でもどうしてそう思えるのかの説明が出来ない・・・・・不思議だった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ でも、これも今となっては簡単に説明がつくんだよな・・・。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ さて、いよいよ最後「一人曲」に入った。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ここで僕は初めて彼女の歌を聴く・・・・最初で最後の仁木さんの歌。 この歌だけは今でも鮮明に覚えている、言葉一つ一つ、表情さえも。 もし運命という物があるのなら、僕はこの歌で運命を変えられたに違いない。 忘れられない思い出・・・・・・・でも思い出にするつもりは無かった。 無かった・・・・無かったのに・・・・・・・・・・・・仁木さん・・・僕は・・・・。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「それでは歌ってもらいましょう!曲は永井真理子『zutto』」 静かに始まる曲、今回は動きも無い、ゆっくりとリズムだけを取っている。 顔は少しうつむいたまま、何か考えているんだろうか・・・。 前奏もそろそろ終わりに近づいた頃・・・・・・・・・・・。 マイクをゆっくりと持ち上げて、顔を上げて一呼吸、そして・・・ 「あ・・・・・・・。」 〜♪〜 ほどけた靴ひもそのままでいたい夜       Heartの字幕ひとりにしといてなの     あなたはそれを分かってくれるたった一人の人     知らんぷりして明日のことを話してる         ずっとずっとねェ  こんな風にしてね     ずっとずっとねェ  生まれる前からね          Zutto・・・                 〜♪〜 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 吸い込まれていた・・・・・・何も考えられなかった・・・・・・。 驚きとか、関心とか、感動さえも感じなかった・・・・・・・・。 たしか最初の一瞬、彼女の表情を見た瞬間に・・・僕は引き込まれた。 その後、歌が進むに連れどんどん変わっていく彼女の表情。 密かなうれしさ、穏やかな安らぎ、そして遠くを見つめる・・・・。 それらすべてが歌のイメージにはまっていた。 そして何とも心地よい声質、バランスのとれた声量。 フワフワとした暖かい物に包まれているような感じだった。 「ん・・・・・・」 ふっと我に返った僕は目の乾きに気がついた、ずっとまばたきをしてなかったようだ。 完全に魅了されてしまっていた。 もともと可愛いし、声も綺麗だったし、そしてこの歌・・・・・・・ そりゃぁ、この会場の誰もが彼女に惹かれてしまうかもしれない。 でも・・・・僕の場合は少し違ったと思う。 僕は彼女に尊敬の念を抱いてしまった・・・「アコガレ」と言うヤツだ。 あの人と一緒にいたい、あの人と話をしたい、あの人のために何かしたい、 あの人に注目されたい、あの人に触れたい、あの人の事をもっと知りたい、 そして・・・・・・もう一度あの人の歌が聴きたい。 今まで感じた事のなかった感情があふれていった・・・。 いや・・・やっぱり違わないな・・・。 僕は生まれて初めて年上の人を本気で好きになった。 そして・・・・・・・・・・長い大会は終了した。 「いやぁ・・・凄かったね。」 「うん!大方の予想通り優勝は『北陸Aチーム』だったね。」 「部門賞もほとんど取っちゃったし・・・でも『二人曲』のあれは・・・・。」 「そうだよなぁ、絶対あれも一位だよな。あれ以上のものは無かったよねぇ。」 「全部同じ所が一位と言うのはいくらなんでもと思ったんだろうね・・・。」 「それにしても・・・JKMCって凄いよなぁ。全然レベルが違うよ。さすがマニアック!」 「え・・・・?」 「やっぱり、マニアックと言うだけの事はあるよな、もう凄すぎ・・・・」 「いや・・・あれはマニアックじゃない!」 「え?」 「あれはもうマニアックとかのレベルじゃないよ、完全に極めてる・・・。」 「極めてる?」 「そう『極める』・・・おそらくJKMCのMは・・・・・・・。」 そして・・・・・・・・。 「はい!みんなこっち見て〜、みんな知ってると思うけど、今まで一緒にJKMCの活動を  してくれた赤川君が、今日でここのサークルを離れる事になりました〜!」 「え〜!!」 あ・・・まだ知らない人がいたんだ・・・。 「でも、これでJKMCを卒業するわけじゃないんだよね!」 支部長が僕に問い掛ける。 「はい!次からは北陸支部でがんばるんで、機会があったらまた会おうぜ!!」 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ・・・・・・・・・ 「はい、今まで本当にお疲れ様でした。向こうに行ってもがんばんのよ!」 僕はここ、『東京第3支部』での最後の成績を受け取った。 「中見て御覧なさい。」 「あ・・・はい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?」 ここで僕は目を疑った。 「フフフ・・・。」 「こ・・・・これ・・・・僕・・『歌い手』って・・・これ本当ですか!?」 「そう・・・ずっと『候補生』だったけど、ここ最近歌唱力もかなり上がったし  見てる人はちゃんと見てたのよ、よくここまで頑張ったわね、おめでとう!」 「あ・・・・あ・・・・ありがとうございます!!」 涙があふれていた・・・・この二年半ずっとこれを目指して頑張ってきたんだから・・・。 そう、あれから3年後・・・・・・・・ 僕はJKMCに入会していた。 そこで知った数々のカラオケの事、出会ったたくさんの個性あふれるメンバー達。 時に学び、時に教え、たくさんの歌を歌って、能力を上げて・・・・。 そして、ついに僕の目指していたAクラスの『AN』、『歌い手』になる事が出来たんだ! その瞬間は北陸行きの最高の手土産が出来たと思った。 ・・でも・・ここで少し不安になった。 「支部長・・・。」 「ん・・・何?」 「確か・・・『北陸支部』ってJKMCの中でもかなりレベルが高いんですよね・・・。」 「う〜ん・・・確かにそういう話は聴くわね・・・。」 「僕・・・そこで『歌い手』としてやっていけるんでしょうか?」 「赤川君・・・確かに気持ちはわかるけど、それは言いっこなしだよ。」 「え?」 「それはすなわち、『こっちのレベルが低い』って言ってるようなものでしょ。」 「あ・・・・・・す・・すいません!!」 「でも確かに気持ちは分かるけどね、町が変われば考え方も変わるしレベルも変わってくる。  北陸は確かに少しレベルが高いという話は聴いてるよ。でも・・・過去何回も色んな地域で 『出張カラオケ』やってるし、最近は地域ごとのレベル差もそれ程は広がって無いって話もあるのよ。」 「そうなんですか?」 「・・・・・・・『☆☆☆☆☆マスター』の私の言う事くらい信用しなさい!」(笑) 「・・・・・・・・(笑)・・はい。」 「もうすでに向こうの方には連絡してあるし、あなたも次の集まりには参加できる様に  しときなさいよ、駅まで行けば迎えに来てもらえるはずだし。あ、連絡先は教えたっけ?」 「大丈夫です、ちゃんと聴いてメモしてあるんで・・・。」 「・・・・よし!それじゃあ、お疲れ様!!向こうに行っても元気でね!!」 「はい、いままで本当にお世話になりました!それではまたいつかお会いしましょう!」 僕は一礼して部屋を後にしようとした。 「赤川君!!」 「はい?」 「・・・・・・・あの人に会えたらいいわね。」(笑) 「・・(驚)・!!!・・・失礼します。」 ちょっと顔が熱くなった、何もかもお見通しか・・・・・・・・・ あの日・・・・僕は一つだけ思いついた事があった・・・・ カラオケを歌う事において最も大切な事・・・それは・・・・・。 聞き手を飽きさせない事・・・。 いくら歌唱力が高くても、いくら技術的に高くても 聞き手が飽きてしまったら、それでほとんど終わりなんだ。 ただ歌うだけの人だったらそれでも良いかもしれないが、 上手くなりたいと思うなら、まず聞き手をひきつける事をかんがえなければならない。 「聞き手を制すればカラオケを制する」 これこそが、僕が導き出したカラオケの答えだった。 僕は北陸のF県に転校した。あの人に会えたらいいなぁと思いつつ・・・。 〜end〜 はい、カラオケ小説第二話後編でした。 長いお話になってしまいましたねぇ・・・。まぁ歌を一度に三曲も載せたからねぇ。 さて、今回「二人曲」「三人曲」で歌の文字に色をつけたり、形を変えたりしてみましたが あれはどう言う意味だったのか・・・もう分かりますよね? 正常が男A、斜体が男B太字が女性のそれぞれソロです。 そして黄緑が2人青緑が3人でハモったところです。 その時の書体は、その歌詞の主旋律パートを歌った人です。 二人ハモリの時どう言う組み合わせでハモったのかは・・・ご想像にお任せします。 もしかしたら読みにくかったかもしれませんね・・・。 さて、知ってのとおり「prologue」とは、「始まり」と言う意味です。 今回の赤川の運命の変化は、ほんの些細な事でした。 しかし、この事がこれから始まる物語のきっかけになったのです。 さて、これからどうなっていくのでしょうか。 次回は、いよいよ赤川が北陸のJKMCに入会! 第3話「Contact」をお楽しみに! 予告


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