「カラオケ物語」第二部 第2話「prologue」
赤川 昭介= 僕はずっと・・・ずっと忘れない・・・あの人の歌を。 今から大体3年前・・・僕は歌のうまい友人とカラオケ大会に出場していた。 この大会で見事3位以内に入賞すれば『全国大会』にいけるという事だった。 でも東京の大会はレベルが高いと言う話だったし、入賞する自信なんてなかったんだ。 イヤ・・・それは嘘だ・・・。 僕は別として、友達は二人とも歌に精通していた・・・。 一人は「志乃森 大智」一般公募のカラオケサークル「BREATH WING」通称「BW」 に所属してるカラオケ通だし、もう一人は中学合唱部のエース「内山 弘美」。 その3人がグループを組んで結成した、その日限りのはずだったユニット、 「shining soul」は、そんじょそこらの一般人には負けないと思っていた。 でもまさか・・・・ 「・・・・・続いて第3位を発表します・・・・。  第3位は・・・エントリーナンバー32『shining soul』です、おめでとうございます!」 「え・・嘘・・・」 「マ・・・マジでぇ!」 「よ・・・よっしゃ〜!!」 はっきりいって信じられなかった、僕ら中学生だけじゃない、 高校生も大学生もいる『学生選手権』だったのに・・・僕らが・・・・。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 2ヶ月後・・・。全国大会は始まった。 「うい〜っす。」 「あ・・おはよう!」 「遅いよ赤川〜!また寝坊しただろ〜!」 「ああ、悪ぃ・・・。」 寝坊はいつものことだった。 「今日は最後の音合わせするんだから、寝起きで大丈夫かよ?」 「ああ〜ああ、大丈夫だって、そんなの気にしなくても。」 ここでカラオケ大会のルールを説明しておこう。 今回のカラオケ大会は「三人で歌う」「二人で歌う」「一人で歌う」の 三つのトータルで優劣を争う。その優劣決めの内容はと言うと、 「歌」「振り」「表現」等など・・・たくさんの要素があるらしい。 関東大会では、最初「3人で歌う」で10人まで絞られたけど、 全国大会は16チーム全てが3つの歌全てで争う事になる。 ただ、ルールとして各個人歌うのは二回まで、 ようするに、二人で歌った人は一人で歌う事が出来ないと言う事。 この辺が結構微妙で、大抵のチームはどっちか一方を捨てようとする。 でも僕らは違っていた、 「ほらぁ〜・・・もう行くよぉ〜。」 「あ・・・・ああ、今行く。」 今日は大会当日だったけど、志乃森のアドバイスで今日最後の練習をする事になっていた。 一度歌っておけば声慣らしも兼ねられるし、いきなりじゃない分無駄な緊張もほぐれる。 志乃森のアドバイスは本当に適切かつ明瞭だ。 こいつがいなかったらきっと全国大会には行けなかっただろうな・・・。 「何か言ったか、赤川?」 「いや・・・・・・。」 大抵は三つの内一つは捨ててしまうカラオケ大会。 でも僕らはこいつのおかげで一つも捨てる事はなかった。 自分の持ち味をあいつがうまく教えてくれたおかげで、僕は最高のデュエットの相方を 勤める事が出来たんだ、一人で歌うのは志乃森、あいつの歌には男なら誰にもかなわない。 でも・・・この二人がいなかったらこんな大きな舞台に立つことはなかったんだよな・・・。 マジ・・・感謝してるぜ!俺も頑張る! 「さぁ!行くか!」 「・・・な・・なんだよ!?いきなりはりきっちゃって。」 「変なのぉ〜・・・。」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「よし!そろそろ行こうか!」 「お?もういいのか・・・・?」 「今の声の状態が多分最高のはずから、これを維持していこう!」 「なんか専門家みたい・・・・凄いね・・・。」 僕らはBOXを出た、 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 今思えば、運命的な出会いなんて簡単な物だって思ったよ。 同じ趣味、同じ考えを持っていた、ただそれだけの事だったんだ。 でも、僕にとっては・・・あまりにも忘れられない出会いになってしまった。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ドン 「あ・・・すいませ・・・・」 「あ・・・・」 不意にぶつかった・・・ほんの些細な事だった え・・・顔を押さえて・・・泣いてる? 「え?・・・・あ・・・あの・・・・。」 「あ・・・ご・・・ごめんなさい!」 その人はそのままそそくさとトイレに走っていってしまった。 な・・・・なんだったんだ・・・・。 「あ・・・あら?仁木は?・・・」 「あ・・・あれ?・・先に出ていったはずだが・・・・。」 さっきの人の知り合いか?一応話しておいた方がいいよな。 「あの・・・さっきの人だったら、トイレの方に・・・」 「あ?ああ・・そうなんすか、ありがとう。」 なんだったんだろう・・・あの人・・・。 そんなこともあって僕らは、大会本選の受付へ、 「関東Cチームです。」 う〜んやっぱりCチームっておまけって感じがしてなんかやだなぁ・・・・。 でも燦然と輝く関東の文字!!レベルの高い大会を勝ち抜いてきたんだ! どっかの田舎のヤツらなんかには負けないぞ! 「あ・・そうだ!大事な事忘れてた。」 「な・・・なんだよ?せっかく気合入れてんのに・・・。」 「インターネットで聞いたんだけどさぁ、今回の大会は・・・・」 あ・・・・・ 「あ・・・・・・。」 さっきの人だ・・・。なんだ大会参加者だったのか。 「さ・・・さっきは・・・・。」 「さっきはごめんなさい!驚かせちゃった?あの時・・・コンタクトがずれちゃって。」 は・・ハッキリした人だなぁ・・・いきなり説明してきた・・・。 なるほどそうだったのか、ハードだったら痛いよな・・・そりゃ。 「本当にごめんなさいね。」 いや別にそんな気にして・・・・うっ!! おもむろに顔を近づけてきたその人の目は・・・き・・・・綺麗だ・・・。 「あ・・い・・いえ別に全然気にしてないんで・・・・。」 思わず目をそらしてしまった、それに・・・。 「あなたも大会出場者なのね・・・『関東Cチーム』・・・お互い頑張りましょ!」 声も・・・・綺麗だ・・・・。 「お〜い仁木〜、関東支部の人達もう来てるぞ〜。」 「あ・・・は〜い!今行く〜!、それじゃぁ大会でね。」 はぁ〜・・・・綺麗な人だなぁ・・・結構年上みたいだけど・・・いいなぁ・・・。 「お・・・おい・・おい!今の人!」 「ああ・・・すっげぇかわいかったなぁ・・・お友達になりてェ・・・。」 「ば・・ばか違うよ、あの人達北陸チームだったよな!」 「あ・・・ああ・・そうだったっけ?」 「昨日インターネットで聞いたんだよ、なんでも今回の大会は『JKMC』のメンバーが参加するって。」 「『JKMC』?なんだそりゃ?」 「なんでも、めちゃめちゃカラオケのうまい人の集まりらしいんだけど・・・昨日の話ではさ・・・」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 以降先日行われた志乃森のチャットの様子 志乃)      いよいよ明日なんですよぉ。>ハマッコ ハマッコ)    頑張ってきてね! ・・・・・・・・あずま@報告!さんが来室しました・・・・・・・・・・ あずま@報告!) こんばんはぁ〜 志乃)      こんばんは。 ハマッコ)    こんばん>あずま<何?報告って ひとし)     ちっす>あずま 蔵)       こんばんは>あずま あずま@報告!) 志乃君!大会明日だねぇ! モ〜ミン)    こんばんち〜>あずま 志乃)      報告って何? ひとし)     気になるなぁ〜<報告>あずま あずま@報告!) 明日の大会は・・・なんとJKMCの歌い手が来ま〜す! モ〜ミン)    なになに〜報告〜? ハマッコ)    え!マジで! ひとし)     あれ?JKMCて大会出れたっけ? 志乃)      ???JKMC??? あずま@報告!) ホントだよ〜>はま ハマッコ)    どこの地区の人?>あずま ひとし)     歌い手って大会出れないんじゃ・・・・>あずま あずま@報告!) JKMC知らない?>しの モ〜ミン)    これは・・・優勝はJKMCに決まりだな・・・。 志乃)      うん、なにそれ?>あずま あずま@報告!) それが出れるんだよ、まだ大会出てない人は>ひとし ハマッコ)    う〜んそうかも、志乃君には悪いけど<優勝>モ〜ミン あずま@報告!) 北陸地区らしい>はま あずま@報告!) カラオケサークルの一つだよ、でもちょっと中身が違うけど>しの 志乃)      す・・すげぇ・・・そこまで言い切れるのか・・・>モ〜ミン、ハマッコ ひとし)     歌い手がでるのかぁ・・・反則だよなぁ・・・。 志乃)      僕んとこのBWとは違うの?>あずま ハマッコ)    何て言うか、レベルが一般人とはかけ離れてるんだよね>志乃 モ〜ミン)    ごめんね、でも明日聞いてみたら分かるよ「歌い手」は凄いから!>志乃 あずま@報告!) なんていうか・・・うまく歌うためのサークルって感じかな>志乃 志乃)      なんか明日が楽しみになってきたよ>モ〜ミン、ハマッコ ひとし)     3人とも歌い手?>あずま 志乃)      うまく歌う・・・カラオケ養成所?>あずま あずま@報告!) あ・・そろそろ落ちないと、志乃君明日頑張ってね、おやすみ〜>おおる モ〜ミン)    いや・おれマジで志乃には頑張って欲しいって! ひとし)     おやすみ〜 ・・・・・・・・あずま@報告!さんが退室しました・・・・・・・・・・・ ハマッコ)    おやすみ〜>あずま 志乃)      おやすみなさい>あずま モ〜ミン)    おやす〜>あずま 蔵)       おやすみ>あずま 志乃)      JKMCか・・・僕もそろそろ落ちます、明日頑張って来るよ。 ハマッコ)    うん頑張ってね。おやすみ>志乃 蔵)       おやすみ>志乃 モ〜ミン)    頑張れよ、おやす>志乃 ひとし)     おやすみ>志乃 ・・・・・・・・志乃さんが退室しました・・・・・・・・・・・・・・・・ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「って感じだったんだよ。」 「『JKMC』ねぇ・・・って事はあの人も相当うまいって事?」 「多分そうじゃないかなぁ。『レベル』が違うって言ってたし。」 「でも・・・『JKMC』って・・・何の略なんだろ?」 「ああ、それは俺も考えて見たんだけど、うちらみたいな抽象的なのではないとしたら・・・・  おそらくCは『サークル』か『クラブ』でKは『カラオケ』だね。Jは・・・全国規模の  サークルだとしたら『ジャパン』かな、Mは・・・察するに『マニアック』かなぁ?」 『ジャパンカラオケマニアッククラブ』か・・・何か恐いな・・。 「じゃぁ、俺らもそろそろ行くか。」 大会が始まった。 入場から始まって、開会宣言、審査員紹介、選手宣誓、諸注意・・・ そして歌う順番を決める抽選、それは志乃森に任せておいて、 僕は選手それぞれの歌う曲が書いてあるパンフをもらいにいった。 うちらの歌う曲はいいとして、僕が気になったのは「北陸地区」の曲、 どんな曲を歌うんだ?パラパラっと見てみたら。 3:「Get Wild」 by TMN 2:「ごきげんだぜ!」 by MCAT 1:「ZUTTO」 by 永井真理子 ん・・・?一人曲は良いとして・・・。 何?二人曲はラップなのか?これでここまで勝ち上がってきたのか? 三人曲も・・・三人で歌える曲なのかなぁ・・・・? 「赤川〜!順番7番目になったよ!」 僕は・・・・・ここで初めて「JKMC」の歌を目の当たりにする事になる。 それは、今までのカラオケの考え方そのものを変えてしまうものだった。 歌唱力とか技術力とかそういうのは問題じゃない。 むしろ歌い手としてもっと大事なものがあると言う事を知ったんだ。 -to be continued- 第二話前編です。 今回「チャット」画面を出してみました。う〜んこれは知らない人もいるかもしれないなぁ。 知っててもかなり読みにくいかもしれないなぁ・・・。 まぁ別に読まれなくてもさほど支障はないんだけど・・・・。 それでは次回予告です。


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